若社長・ズッピー
近所に、ザ・ズッピーズという会社がある。
社長の名前がズッピー。
起業して間もない社長・ズッピー、25歳・独身。
言ってみれば、毎日の食卓に欠かせない味噌汁のようなタイプ。
ガツガツしたハデさがない代わり、一緒にいるとホッと安らぐ、そういうタイプ。
朴訥(ぼくとつ)とした第一印象に小さく切りこみを入れるように、ときおり鋭いひと言をつぶやく。
言ってるのは彼の素直な感想なのだが、ちょっと切り口が変わってる。
その意外性がオモシロい。
トラブルまみれの会社
ザ・ズッピーズがトラブルに見舞われた。
開業早々だというのに。
トラブルの詳細は割愛するが、これからがんばって少しずつ会社を大きくしていこうと張り切っていたズッピーにとって、これはなんとも手痛いことである。
トラブル処理に追われて本業は停滞。さらに予想外の出費がかさむ。
開業したては運転資金がギリギリ。事情はイグジットも同じなのでよくわかる。
しかし、なんの手助けもできない。
心の中で「ガンバレ、ズッピー!」とエールを送るばかり。
意外な採用の理由
どう見てもアンラッキー、不運に見舞われまっくているズッピーなのだが、次に彼がとった行動は採用。
え!?このタイミングで採用っ!?
経営者の方ならご承知のとおり、人をひとり雇うとなるとその関係費用はかなりのものになる。
運転資金ギリギリのときに採用なんてできない。というのが一般的な考えだ。
だけどズッピーが選択したのは採用。
なぜこのタイミングで採用するのか?
理由は「自分が採用されてうれしかったから」。
ズッピー自身の体験に基づいた選択だったのだ。
赤字確定の決算書に取り組む
こうして次々と、周囲の度肝を抜く選択を繰り返しながらザ・ズッピーズは第2期の決算を迎えた。
当然のことながら、ザ・ズッピーズは赤字。
決算処理に不慣れな社長・ズッピー、どうやっても数字が合わない。
何度も何度も決算書の数字と格闘して、いいかげんウンザリしたズッピーが弱音を吐いた。
「赤字なんか計算して、なにが楽しいんですかねぇ‥‥」
おっしゃる通りだ。
赤字は楽しくない。
苦労して計算したのに、その計算は正しい答えが出ているのに、それなのに結果は赤字だなんて、気持ちが萎えるのも当然だ。
そんな苦労を重ねるズッピーを、私は近で興味深く観察してきた。
私の方だって赤字続きで苦しいところだ。
だけど経理のやり方くらいはわかるので、期末ごとにザ・ズッピーズに行って決算処理のお手伝いをした。
そうするうち、ザ・ズッピーズは研究と開発を重ね、良質な商品を売ることで業績を伸ばしはじめた。
もちろんときにはトラブルに巻きこまれ、そのたびに対応に追われててんやわんやしていたが、あいかわらず素直な感想をつぶやいて周りをオモシロがらせていた。
生き返るザ・ズッピーズ
そして迎えた5期目の決算。
ザ・ズッピーズは法人税を納める運びとになった。
利益が出たからこその法人税。
そう、どん底だったザ・ズッピーズはみごとなV字回復を達成したのだ。
赤字決算に嫌気がさして夜逃げすることもできたのに、踏んばって続けた甲斐があったというものだ。
やったねズッピー!
すごいよズッピー!
ズッピー万歳!
自分は下降の業績を修復できないままあえなく倒産したというのに、よその会社のV字回復がこんなに嬉しいなんて。
ズッピーのV字回復に、決算処理で力になれたというジワーッとした満足感があった。
そりゃまぁ、自分の会社も同時に黒字になってりゃもっと嬉しいけど。
MGの楽しみ
以上は私が先日参加したマネジメントゲーム(MG)の体験である。
MGでは、単に会計の勉強をするだけではない。経営の勉強をするだけではない。
市場を取り巻くあらゆる事象、そこからさまざまなことを学ぶことができる。
設けるのが好きな人、会社を大きくするのが好きな人、市場に影響を及ぼすのが好きな人、参加者との交流が好きな人。
その人の好きなところで、好きなことを好きなだけ学ぶことができる。
なによりもオモシロいのは、「教えない」ということ。
「教えあう」という考えがあるからこその「教えない」なのだが、自分で気づくそのときまでほっといてもらえるというのがいい。
もちろん多少のアドバイスはあるが、お門違いの押しつけはない。
自分で選んで学ぶ。
そこがいい。
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