「防災訓練 話し方」なんてキーワードで検索されることもあるこのブログ。
「話し方」で検索する人は一体なにを求めているのだろう。
心がまえか内容か、それとも最初から最後まで一言一句一挙一動が用意された台本か。
災害という、いつなにがどんな風に起こるかわからないものに対して、一言一句一挙一動があらかじめ決められた台本がどれほど効果的かというのはさておいて、人前でしゃべる必要があるのならトークの準備がいるだろう。
イグジットの防災訓練にだって台本はある。
ここにその台本を公開してもいいんだけど、あんまり役に立たないはず。
だって、防災訓練はお客さまに合わせて作るんだもの。
お客さまの規模や事情、これまでの訓練実績、課題、要望をヒヤリングしてからメニューや台本を作っていく。
そんなオーダーメードの防災訓練トークでも、定番にしているネタはいくつかある。
そのうち、いつでも使える3つのネタをご紹介したい。
このまんま使うのは多少勇気がいるかもしれないが、防災訓練にはこういうことを平然と言えるムードがほしい。
「訓練中に携帯電話が鳴ったら、自分の判断で出るなり切るなりしてください」
仕事の電話、家族からの電話、間違い電話。
なんにせよ着信している以上、緊急事態であることは間違いない。
どんなときでも想定外は起こる。
それを即座に判断して対応するのも訓練と言える。
あと肝心なのが、電源を切ってたら緊急地震速報が鳴らないから。
会場にいる全員がヘタなマナー気分で携帯電話の電源を切ってしまったら、防災訓練をしていた人たちだけが逃げ遅れたなんてことになりかねない。
「トイレは行きたいときに行ってください」
「大事なお話中だから尿意なんかで離席できない」なんていう気遣いはまるで無用。
行きたくても行けない状況になって後悔するよりいい。
次の瞬間も平穏とは限らないのだから。
トイレに行く代わりに携帯トイレを使いたい人には、それも用意している。
せっかくのチャンス。使い勝手がどうなのかを試してもらいたい。
実際に使ってみる人はいないけど。
「作り方は書いてあるので読んでください」
非常食を作ってみるワークのときは、こう言っている。
防災訓練で、私はほとんど教えない。
それは、「自分でやれるようになる」を訓練の目的にしているから。
だから、参加者の年齢層が高くても、小さい字でビッシリ書いてある作り方を読み上げることはしない。
そうしていると必ず、読める人が読んで周りに教えてあげる。
ちなみに、共に助け合う共助の力を育てるのも防災訓練の目的にしている。
不便なイベント
イグジットの防災訓練は、決して上げ膳据え膳ではない。
寒いし狭いし、わかりにくいし使いにくい。
どちらかというと、参加者にとっては不便なイベントである。
参加者によっては「わからない」「もういい」と不満や不機嫌を露わにする人もいる。
しかし私はあえて、不便を感じる演出を施す。
そうして自分で考えて、自分でやれるように仕掛けている。
なにしろ、災害を想定した訓練であるから。