支援者の研修プログラムは「する体験」よりも「される体験」を重視して企画せよ

ところで、車イスに乗ったことがある人はどれくらいいるんだろうか。

日本防災士会大分県支部が開催するスキルアップ研修に参加した。
約50名の防災士が集まった勉強会はオジサンばっかり。
女性は、私ともう1名だけ。

余談だが

こんなとき、オジサン方はかたくなにシャイだ。
彼らは一様に腕組みをして、ひとりムッツリと座っている。
オジサンたちに「隣同士で自己紹介しましょう」とかのアイスブレイクをやらせるのは難しい。

【ついでに読みたい、アイスブレイクがイヤな理由】
アイスブレイクでアイスがブレイクした試しがない

これがオバサンだと、たまたま隣に座ったという縁だけで会話が始まる。
コミュニケーション力が不可欠な防災に、オバサンの参画が効果的なゆえんである。

【あわせて読みたい、防災に女性を参画させるべき理由】
災害という非常事態で最高に活用できるのはオバサンのコミュニケーション能力 

車イスの扱い方を学ぶ

さて。
研修プログラムのひとつに、被災者支援講習と称して車イスの扱い方を学ぶ機会があった。

「災害時における歩行困難者救済のための基礎知識」という、要するに歩くのがツラい人を助ける話。

研修の配布資料より

講師がアレコレと、車イスの機能や仕様に際しての注意点を語る。
研修参加者の大半は車イスを押したことがあり、中には福祉業出身の人もいた。
でも、「車イスに乗ったことがある」という人はいなかった。

しかしこの場合、押したことがあるかよりも、押されたことがあるかのほうが重要なのではないだろうか。

押されたことがある

ちなみに私は、先天的な足の障害で幼少のころから車イスを使っていた。
その後の人生でも、足の不具合やケガなどで車イスには何度もお世話になっている。

だから、車イスを押されたことがある。
安定具合や乗り降りの仕方も感覚で知っている。
低い視点からのもどかしさとか、後退スピードの恐怖とか、フットレストにくるぶしをぶつけたときの痛さとか、勾配によってはスロープもありがた迷惑だとかを体験している。

経験して知ってはいるが、知っているということはすっかり忘れていた。
今回の研修で「車イスに乗ったことがある人」と問われて、久しぶりに思い出した。

結論

やはり体験。
これに尽きる。

やってみて実感しないと、どうしても自分事にはなりにくい。
自分事になっていないうちは、適切な行動をすることができない。

このスキルアップ研修では他のプログラムもあったのだが、どうせなら研修の間中、全員が車イスに乗ってりゃ効果的だったかもしれない。
「車イスで活動するにはどれくらいのスペースが必要か」なんてのに「幅90cmが必要」なんて説明されるより、よっぽど身にしみる。

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