目の前で交通事故が起こった。
その対応で、ふだんのトレーニングの成果が明らかになった。
目の前で起こったこと
どういういきさつでそうなったものか、車が反対車線の電柱にぶつかっていた。
単独事故とは言え、場所は交通量の多い片側1車線。
しかも朝の通勤ラッシュ。
事故車両が片側1車線を占領しているため、あっという間に渋滞が起こり、両車線とも身動きができなくなってしまった。
左側の角がつぶれた事故車両はシーンとしている。
近づいて運転席のドアを開けてみる。
エアバッグの膨らんだ運転席で、男の人がぐったりしていた。
口からアワを噴いている。
運転手は、シートベルトのおかげで、ナナメではあるがかろうじて座位を保っている。
「わかりますか?」と声をかけると上体が動いた。
これって「反応している」と言えるのか?
急変
急に、男性が激しく動き出した。
座位のまま前後左右にブレる体。
胸や腕がハンドルに当たり、クラクションが何度も鳴る。
男性の半開きの目には意思が感じられず、意図的に体を動かしているようには見えない。
「救急呼んで!」
そばにいた夫に頼む。
ヨソの人ならいざしらず、夫なら119通報はお手のものだろう。
あとは任せておけばよい。
無意識に暴れる運転手は、どう見てもこのままでは危ない。
かと言ってなにかができるわけでもない。
下半身が車体に挟まれている様子はないが、うかつにシートベルトを外せば転がり出てくるかもしれない。
縦横無尽に暴れる成人男性、ヘタすればこっちの身も危ない。
「エンジン切ったほうがよくないか?」という声が耳に入る。
それもそうだと思ったが、他人の車で勝手がわからない。
ガソリンに引火→爆発!という単純な図式が浮かぶだけで、どうしようもない。
もはやこれまで。
AEDを持ってきてください!
仕事を兼ねた娯楽で、救命救急講習を定期的に受けている。
おかげさまでずいぶん慣れた。
少なくとも、講習の「あなた、AEDを持ってきてください!」をなんの羞恥もなく大声で言えるぐらいにはなった。
心臓マッサージやAEDの手順で迷うことは、もはやない。
講習では。
本番では?
何度も講習を受けて慣れていても、アワを噴いて痙攣している人を目の前にしたらなんにもできない。
だってシチュエーションが講習と違うもん。
イキナリ急にだし、相手は生身の人間だし、毛布の上で横になってないし、今の状態がなんなのかわからないし、このあとどうなっていくのかわからないし、とにかく違うことだらけ。
【過去に出くわした緊急事態】
「AEDを持ってきてください!」どころではない。
ADEなんて思いつきもしなかった。
だいたい、あの近辺にAEDなんてあったんだろうか。
救急車が来るまでの数分間、なすすべのなかった我われはひたすら交通整理にいそしんだ。
どうしろというのか
「救急講習を毎年受けてます」なんて言ったって、その効果はハナクソみたいなもんである。
たとえ年に1回でも、みっちりと筋トレをすればオリンピックに出られる。
というのが毎年恒例の防災訓練で満足している状態です。#オモシロ防災訓練
— 強く押すメガネの人 (@ne_dsk) April 27, 2019
訓練は継続と積み重ねがポイント。
それは、スポーツでも勉強でも防災でも同じだ。
トレーニングが本番を左右する。
だからといって、非常時のために日常が圧迫されては元も子もない。
やるべきこと、やらないこと、日々続けること、たまに振り返ること、自分のニーズ。それぞれを分類しておく必要がある。

受けずにほっといたけど、消防署の上級救命講習(左上)も受講することにした。
【あわせて読みたい、救急講習の種類】