別府市で開催された防災まちあるきというイベントに参加してきた。
別府と防災
大分県別府市。
古くから温泉で知られ、現代はインバウンドの観光客と立命館アジア太平洋大学(APU)の留学生でにぎわう、インターナショナルな街である。

APUの寮であり、留学生の就職や起業を支援するセンターでもあるAPUプラザ。
昔からよその人を受け入れていた温泉地らしく、庶民的でおおらかな住みやすい街であるが、自然災害にとってそんな事情は関係ない。
2016年4月の熊本地震では別府市もそれなりの被害を受けて、街の防災意識は確実に上がっている。
【参考資料】
平成28年熊本地震の記録(最終報告)-震災からの創造的復興をめざして-/別府市
留学生と災害
われわれ日本人にとって、代表的な自然災害は地震である。
しかし、国が変われば災害も変わる。
地震は、少しずつずれ動く地下の岩盤のひずみによって引き起こされる。
日本は岩盤の集合地だが、ヨーロッパあたりは岩盤から遠いため地震がほとんどないらしい。
そんな国からやってきた留学生たちは、地震に対して完全に丸腰。
備えどころか知識もない。
しかし、日本で暮らす以上、特有の災害を知り、対策をしてもらわねばならぬ。
ということで、別府では留学生をメインにした防災イベントが開催されている。
留学生との交流
日本に留学してきてるぐらいだから、留学生との会話は日本語が通じる。
そうはいっても会話をするにはコツがあるそうで、イベントの最初に主催者からアドバイスがあった。
それがオモシロかったのでご紹介したい。
短い文で話す
すべての用件をありったけブチこんだ、ダラダラと続く文はわかりにくい。
用件を簡潔に述べるビジネスメールのような、テキパキした感じがいいらしい。
「~です」「~ます」を使う
子どものころ、親戚のおじさんになれなれしく話しかけると親から同じようなことを言われてたなぁ。
ヨソの人と話す感じで、だな。
あとは漢語を使わないとか敬語を使わないとか。
要するに「やさしいにほんご」で話せばいいのだな。
生活の地に外国人がいる別府市民は、否が応でもコミュニケーションせねばならず、カタコト英会話ができる。
受験英語しか知らず、この歳になっても「ハーワーユー、アイムファイン、アンジュー?」から抜け出せない私にとってはうらやましい限り。
留学生との交流チャンスが防災がらみというこのイベントは、私にとって渡りに船なのである。
留学生と一緒に別府の街を歩く
私が一緒に街を歩いたのは、イギリスからやってきた3回生。
イギリスでは地震の経験がなく、先日ちょっと揺れたとき「うぉワぉ¥ッ%4!?」ってなくらいビックリしたのだそうだ。

ふだんは見過ごしがちな海抜表示を改めてチェック。
同行した別府のオジサンが「やさしいにほんご」と「はじめてのえいご」でミックス会話するので、どっちもわかってオモシロい。
イギリス人の彼の、「えーと、こういうとき日本語でなんて言うんだっけ?」を連想して当てるのもオモシロい。
ドンピシャリの言い回しを当てたときの、お互いの「それそれ!」感も、日本語だけどオモシロい。
肝心のメインテーマ
参加者には、指定された防災ポイントを通って写真を撮るミッションが与えられる。

津波避難場所に指定されているデパートのビル。

デパートが営業していないときに使う避難階段。
この手の防災イベントは基本の入口だ。
だから知識や経験のある人にとっては物足りないばかりか、もどかしささえ感じる。
実際に、「おもしろくない」とつぶやいていた人もいた。
だけど、ターゲットは入口を探している人なんだもの。
もっと高レベルのものを求めているベテランさんは自分に合ったイベントに参加するか、入口までたどり着いた人にもっと詳しい情報を差し出せばよい。
イギリスの留学生に地震のイメージがどれくらいあるのかわからないが、これをきっかけに「ちょっと気になるようになった」ぐらいになれば効果アリなのだ。

ここに来れば飲料水を得ることができる、という知識も。