消防設備業者が自分を「防災屋」と称するのは大風呂敷を広げすぎである

消防設備業者は自分たちのことを「防災屋」と称することがある。

防災とは

防災とは読んで字のごとく、災害を防止すること。
場合によっては被害の抑止や軽減、そこからの復旧なども含まれる。
では、そこで扱われている災害とはなんなのか。

災害とは社会生活に被害を及ぼす事態のこと。
だから、人が発端の戦争や事故も災害なんだけど、日本人の感覚で災害と言えば原因をコントロールできない自然災害のことだろう。

日本の災害対策基本法では次のように定義されている。

暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害

さて。
世間一般の災害イメージはなんだろうか。
これはそのときによって大きく左右される。
阪神淡路大震災のあと世間は地震に夢中になっていたし、東日本大震災では津波、こないだの台風では「水害以外になにがある」って感じだ。

アスクルの倉庫が12日間も燃え続けたときは、さすがの世論も火事が気になった。
しかし、あれを「原因をコントロールできない自然災害」としていた人はいただろうか。

なにが言いたいかというと

そんな世間の感覚を無視して、消防設備業者が「防災屋」と豪語して大丈夫なのかってことである。

ここで再び災害対策基本法で定義されている災害を示す。

暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害

消防設備業者が携わっているのは「大規模な火事」の部分だけである。
大目に見て「若しくは爆発」も含もうか。

小規模な火災にも関わっているのは言うまでもないが、そのエリアは極端に限定されている。

消防設備業者が活躍できるのは、設備を取り付けられる建物だけ。
ボヤの起こりうる、藪に捨てられたタバコや河川敷のBBQにはなんの関係もない。
もっと厳しく言えば一戸建て住宅だって対象外だ。

もう一度言う

「お仕事なにやってらっしゃるんですか?」
「防災屋です」
「ほほう、防災!」
その会話、お互いの認識がズレてるぞ。

自称防災屋が伝えたいのは「火災という災害からですね、みなさまの命と財産をお守りするためにですね、消火器とかスプリンク‥‥」だが、先方にしてみれば「は?火災?(人災じゃねーか)」である。

消防設備業者が自分たちのことを防災屋と称してしまうのは、業界認知度の低さゆえである。
仕事をするうえでマストの消防設備士は立派な国家資格なのに、知ってる人はほとんどいない。

「お仕事なにやってらっしゃるんですか?」
「消防屋です」
「ほほう、消防!」
これもダメだ。誤解を生む。
先方がイメージしているのは赤い車両。

消防車

「えっ、消防士さんなんですかっ(嬉)」

そんな消防設備業界に朗報

これによると、われらが業界は「消防機器業」と称されることになったらしい。

消防機器業。
うん。悪くない。

機器だなんて、活躍の場がかなり狭められてしまった感があるけど、そもそも「防災」と称していたのが大風呂敷を広げすぎだったのだ。
やってもない、やる気もないのに。

同業者に嫌われる会社

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