消防訓練と言えば初期消火。
オイル皿に注いだ灯油に火をつけ本物の消火器で消す、本番さながらのデモンストレーションは消防訓練の目玉だ。
しかし、昨今の住宅事情を鑑みると実施するのはなかなか難しい。
イグジットが消防訓練を企画するのは、ほとんどがマンション。
火を焚いてもいい場所、粉末の消火器をブッ放してもいい場所、そんな広くてフリーダムな場所はマンションの敷地内にはない。
粉末消火器をブッ放したあとの片づけはウンザリだ。
オイルパンや灯油を用意・管理するのもメンドクサイ。
なによりも、中規模の裸火を取り扱うリスクは避けたい。
イグジットは火消しが専門なのではない。

こういうのは消防団員の方に任せよう。
だけどやっぱりリアルな消火訓練はやりたい。
そんなジレンマから生まれた苦肉の策がなかなかよくて、今ではマンション消防訓練の通常プランとしてご提供できているのでご紹介したい。
用意するもの
- ペール缶
- 発炎筒3本
- 土台になるもの
オイルパンの代わりにペール缶、灯油の代わりに発炎筒。
高さのあるペール缶は万が一の飛び火を防げるし、発炎筒は安全に着火できるて準備も簡単だ。
訓練用の水消火器で消火できるのもいい。

発炎筒は3本もあれば十分。これくらいの勢いで燃えてくれる。
土台にはスチール製のペン立てや箸立てを使う。それに同じくスチール製の鍋敷きかケーキクーラー。
要するに、発炎筒を立てるものとその下に敷くもの。
100均に行けば似たようなものはいくらでもある。
準備と着火の手順
1 ペール缶に水と土台を仕込む。

横から見た図。ペール缶に3センチほど水を張って土台を置く。
取扱いの簡単な発炎筒だが、その勢いと温度はバカにならない。
安全対策にペール缶の底に水を張る。
2 着火した発炎筒を投げ込む

余裕なのは最初の1本だけ。2本目3本目を投げ込むときは及び腰である。
消火訓練のタイミングを見計らって発炎筒を着火しよう。
発炎筒が燃えている時間は約5分なので、そんなに慌てなくてもいい。
余談だが、これのおかげで私は発炎筒の着火にすっかり慣れた。
これまでに火をつけた発炎筒は100本以上になる。
車で緊急事態に遭遇して、いよいよ本来の目的で発炎筒を使うとき、着火に限っては落ち着いて行動できる自信がある。
気をつけておきたいこと
扱い方が簡単な発煙筒だが、油断してはいけない。
勢いよく火を噴き出す発炎筒を、ペール缶の所定の場所に投げ込むときは特に。
1本目はいいが、火を噴いている発炎筒の隣に2本目3本目を投げ込むときはヤケドに注意していただきたい。
思わぬ方向に炎を噴き出したときもアブナイ。

発炎筒が倒れてしまった例。

壁の外側から煙が出てくる。
発炎筒がうっかり倒れたときはこのようにペール缶の壁が燃える。
あまり大きな声で言いたくないが、これでシャレにならない失敗をしたことがある。
発炎筒を立てる土台はしっかりしたものを選ぼう。
あと、発炎筒から出るススで周囲が汚れるのも気を配っておきたい点。
まとめ
ペール缶と発炎筒を使えば、消火訓練はリアルさを再現しつつも簡単で安全にできる。
広い場所がなかったり火を焚くのが難しいマンションの消防訓練にうってつけ。

訓練用の水消火器で消せる。