前回までのあらすじ
避難器具は、高所からの降下と非常時というイメージのせいか絶叫マシンのように思われている。
特に救助袋。それも真下に降りるタイプは、イラストで見るとどうしても急降下に見えてしまう。スットーン!
しかし、イラストで急降下のイメージを持ってしまった人はどうか落ち着いて考えてほしい。
ただでさえ非常時だというのに、これ以上のスリルを足しては本末転倒だということを。
実際は、体にまとわりつく帆布の中をモゾモゾとずり落ちていく感じ。
むしろ「いつまでこうしていなきゃなんないんだ」と思えるほどのスピードなのでご安心いただきたい。
もうひとつの救助袋
「ゆっくりだからご安心を」と言っておきながらナンだが、実はスットーン!タイプもある。
それが斜降式。
今さらだが、救助袋は上の画像のように2種類ある。
①真下に降りるタイプ(垂直式)
②ナナメに降りるタイプ(斜降式)
真下に降りる垂直式はモゾモゾだが、ナナメに降りる斜降式はイラストのイメージ通りと言ってよい。
すべり台並みである。

イメージ図
では見ていただこう
スピード感がお分かりいただけるだろうか。
視界は帆布で真っ白。
まるで純白の雪原をソリで滑っているようだ。
そのスピードは?
滑り降りるときの速度を数字にするとどのくらいなのだろうか。
消防設備はイザというときのモノなので、構造や材質、強度などに細かい規定がある。
その規定を参考にしてみよう。
袋本体は、連続して滑り降りることができるものであり、かつ、平均毎秒7m以下の速度で途中で停止することなく滑り降りることができるものであること。
「避難器具の基準(消防庁告示第一号)斜降式の救助袋」より
ナナメに降りるタイプの降下速度は平均毎秒7m以下。
秒速7mは、時速にするとだいたい25km/h。
スピードスケートの世界記録が254.958km/hというから、およそ10分の1のスピードだ。
純白の雪原をソリで滑っているようだなんて言っちゃったけど、スピードは雲泥の差なので今度こそご安心いただきたい。