
「上をちょっとおさえて上げる」
非常用の機器はめったに使わない。
使わないから使い方はうろ覚え。
なにごともなければうろ覚えのままでもいいのだが、訓練や誤作動で久しぶりに使うとなるとそうはいかない。
マニュアルを見ないと操作方法がわからないが、そのマニュアルがどこに行ったかわからない。なんてことはよくある。
ちゃんと書いてある
機器には簡単な説明が書いてある。
おなじみの「強く押す」なんかがまさにそれ。
だが、めったに使わない人にとって、メーカーが書いてくれた説明なんて圧倒的に情報が足りない。

「PUSH▲OPEN」
上の機器は火災報知機であり、スイッチが入ると同時に消火栓が起動するタイプであり、上方向に押し開けたところに電話のジャックがある。
上の画像にはこれだけの情報が書かれているのだが、一般的にどれくらい理解されているのだろうか。
裏ワザ
使い方がわからない。
マニュアルも小難しい。
そんなときに取られる手法が機器に直接書くだ。
「火災報知機」と書かれた部分を開けるのにちょっとしたコツがいる。
そのコツは、機器本体に「PUSH▲OPEN」と印字されている。
にもかかわらず、誰かが「上をちょっとおさえて上げる」と手書きしたのだ。
なんてわかりやすいんだろう。
「PUSH▲OPEN」は完全に無視されている。
もっと難しい機器
火災受信機ともなれば操作はさらに複雑。
「全館鳴動」や「ポンプ起動」などの表示が並んでいるのを見たら、うかつには触れない。
ヘタなことをしたら消防車が来て大騒ぎになるかもしれないじゃないか。

とにかく番号順に操作すればいい、オリジナル取説。
火災受信機にだってメーカー製の取扱い説明がついている。
すぐ見られる扉の裏なんかに簡易的にまとめられている。
火災のとき、誤作動のとき、それぞれの対処方法がわかりやすく書かれている。
にもかかわらず機器に直接書かれているということは、メーカーの用意したマニュアルが煩雑・難解ということだろう。
専門家vs覚える気がないシロート。攻防に終わりはない。
やってはいけない素人マニュアル
油性ペンやシール、ふせんなどで操作手順が追記された火災受信機はよくある。
必要最低限の操作を単純にまとめた、使用者オリジナルのマニュアルはプロの目にもシンプルでわかりやすい。
なによりも、目に留まる。

私もよくやっている(アイロンに書いた電源の注意)
しかし注意していただきたいのは、その操作方法は正しいのか?ということ。
担当者の経験などあやふやな情報で書かれてはいないか?ということ。
誤ったオリジナルマニュアルに沿って操作し、機器が正しく作動せず火災事故が拡大。
あげくに死者が出てしまったなんて話もあるので、いま一度ご確認いただきたい。