けしからん式典ニュース
成人式と言えば、若者たちの奇抜な衣装。
彼らのあつらえる豪華絢爛なコスチュームは舞台衣装並みにギラつき、和装だか洋装だかもわからない。
カラフルな揃いのリーゼント。肩をはだけた花魁姿。
成人式の式典は、もはや季節外れのハロウィン。
そして夕方のニュースは、大人たちの「けしからん」を煽るようにド派手な彼らを取り上げる。
奇抜な企画
若者よ、いいぞいいぞ。もっとやれ。
我われ大人が思いつきもしない奇抜なアイディアを、もっと出せ。
イノベーションを起こすのは君たちだ。
テレビの前で花魁のルーツを語りはじめるオッサンなんてほっておけ。
新しいアイディアの中には育たずに消えてしまうものもあるだろう。
消えてしまうものが大半かもしれない。
だから、思いつくものを片っ端から世の中に発信してほしい。
そうしなければ世界は変わっていかない。
最後の打ち上げ
ところが。
インタビューを受けた若者がこう言っていた。
「もう子どもじゃないんで。最後だと思って(この格好を)やりました」
えぇっ!
明日からやめちゃうの!?
奇抜な衣装は社会人にはそぐわない。
大人になったらちゃんとする。
そう言って彼らは、自分に残った自由を成人式で使い切っているのだ。
若者がマトモになる理由
若者よ、申し訳ない。
明日をわきまえた君たちの態度は、われわれ大人たちが若者のアイディアをつぶしてきたからに他ならない。
新しいアイディアが持っているはずもない実績や前例を要求し、有名さや大きさで比較し、業界の常識や「聞いたことがない」といった言葉で蒸し返す。
そんな環境で新しいアイディが育つわけがない。
イノベーションなど起こらない。
大人がやるべきこと
カラフルリーゼントと肩のはだけた花魁姿は、発信されたばかりの新しいアイディアにすぎない。
フォロワーが表れて世に広がるかもしれないし、アンチが発生するかもしれないし、誰からも無視されて消えていくかもしれない。
我われ大人がやるべきは、リーゼントと花魁を世のステージにあげてみること。ステージにあげるために検討すること。
粗削りな花魁リーゼントに足りないものを追加し、余計なものを引くこと。
花魁リーゼントに眉をひそめることではなく、まして阻止することなどではない。
大人たちよ、成人式の衣装などに「けしからん」感情を煽られてはならぬ。
そして若者よ、明日は花魁リーゼントで出社せよ。