いつまでも出世しない、生活がパッとしないことをうだつが上がらないと言う。
ちっとも上がらないうだつとはなにか?
卯建/梲
うだつとは、屋根瓦に付属する装飾のこと。
隣接した町家の屋根の間につけられた仕切りで、防火壁の役目をしている。
建築物の一部を指す言葉だが、その役割は時代とともに変化してきた。
もともとは梁と棟木の間に建てるもので(室町時代)、しだいに形を変えて防火壁となり(安土桃山時代)、ついには家のステータスを表す装飾になっていった(江戸時代)。
という話が防火対象物点検資格講習のテキストに書いてあった。
受け売りネタなので、ここまでのすべての文末には「らしい」をつけて読んでいただきたい。
さて。
防火壁、ましてや装飾など、裕福でなければ造れない。
屋根にうだつを上げられるのは財力のある証拠。
転じて、さえない、一向に芽が出ないことをうだつが上がらないと言うようになった。
現代の防火壁
火災の急激な拡散と延焼を防ぐ防火壁。
現代は建築基準法で設置基準が決められている。
延べ面積1000平方メートルを超える建築物は防火壁を設けなければならない
建築基準法第26条
自立する耐火構造にしろとか、開口部は幅と高さを2.5m以下にしろとか、いろいろと厳しい。
消防法も厳しいが、建築基準法もなかなかに厳しいのである。
なにしろ、ヘタしたら人命にかかわるのだから。
もうひとつの防火壁
火の拡散と延焼を防ぐ自立した耐火構造と言えば、これも防火壁と言えるだろう。
ベランダで自立する耐火‥‥少なくとも不燃材である。
微力ながら、火災の拡大にひと役買っている。
うだつの上がらない人は、せめてベランダの防火壁を突破してイザというとに頼りになるべく準備をしておこうではないか。