業界の常識は、一般の非常識。
専門家があたり前にやってることが、しだいに世間の意識とかけ離れていくのはよくあること。
一般のイメージ
新宿歌舞伎町と言えば、オトナの歓楽街。
ナイトスポットでありキャバクラであり2丁目であり、眠らない街のイメージが一般的だろう。
【参考サイト】
しかし、消防業界における新宿歌舞伎町はちょっと違う。
業界にとって新宿歌舞伎町と言えばあの火災であり、明星56でありスーパールーズなのである。
あの火災
あの火災とは、2009年(平成13年)に歌舞伎町の明星56ビルで起きた新宿歌舞伎町ビル火災で、44名が死亡するという大惨事。
誤作動のわずらわしさから火災報知機の電源は切られており、火や煙を止めてくれるはずの防火扉はパッカーンと開いており、唯一の避難ルートは倉庫を兼ねており、窓は看板でつぶされており、避難誘導すべき店舗スタッフはいち早く逃げ出し、多くの人が犠牲となってしまった。
ちなみにスーパールーズとはビルの最上階に入っていた風俗店で、このフロアの客と従業員28名は全員死亡している。
事故が起こると法律は厳しくなる
テキトーすぎる火の用心が問題視され、この火災を機に消防法が大幅に改正された。
自動火災報知設備は小さなビルでもつけなければならなくなり、消防署はいつでも立入検査に入れるようになり、違反者の罰金は200倍に増えた。
そしていわゆる火の用心、防火管理の徹底が敷かれることになった。
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業界のイメージ
消防業界の人間は、新宿歌舞伎町の地名を聞くたびに悲惨な火災を思い出す。
そして歓楽街によくある小さなテナントがいっぱい詰まった雑居ビルに、「頼むから1軒1軒が、ちょっとでいいからちゃんと火の用心しといてくれ」と切に願うのである。