今日は、救助袋の話をする。
救助袋とは
救助袋は、非常時に持ち出す貴重品を入れた袋ではない。
建物の上から下に移動するための非常ルートのひとつ。いわゆる避難器具だ。
袋の他にはしごタイプや井戸のつるべタイプなどがある。
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救助袋は学校についていることが多いが、条件によっては病院やホテル、店舗などでも使われる。
条件とは、人数とか広さとか階数とかだけど、予算とか業者が得意としているかとかも重要ポイントになる。
余談だが、禁忌なのは地階。
救助袋は重力を利用しているので、下から上への動きには無力なのは言うまでもない。
どういうときに使うのか
避難器具なんだから避難するとき使うに決まっている。
しかし、「避難するとき」とは具体的にどんなときなのだろうか。

ホテルのベランダに設置された救助袋(四角のフタの中に入っている)
例えば夜中。
非常ベルのけたたましい音がホテル中に鳴り響く。
これが「避難するとき」だろうか。
そうではあるまい。
おそらくあなたは、非常ベルの音を聞いたくらいでは救助袋は使わないだろう。
まずはなにが起こったのかを確かめようとするはずだ。(それか、とりあえず部屋にこもる)
例えば火災。
なにごとかと廊下に出てみると、どこからか発生した煙が漂っている。
非常時なのは明らか。火事なのは明らか。
これが「避難するとき」だろうか。救助袋を使うときだろうか。
そうではあるまい。
おそらくあなたは、煙を見てさえも救助袋は使わないだろう。
チェックイン時に通ったルートを使って避難するはずだ。
つまり、エレベーターでフロントに行こうとする。
(それか、とりあえず部屋にこもる)
どうせ使えない
なにが言いたいかというと、ふだんやってない動作はどんなに緊急事態でもやらないということ。
だって思いつかないんだもん。
あと、勝手に使っていいのか?の判断がつかないよね。

「使うな」の強いアピール。
非常系のものたちは、日ごろから「使うな」と威嚇してくる。
こっちだってなにも使いたいわけじゃない。使う必要もない。
だから見なかったことにして、関心を持たないようにする。
われわれは「使うな」を忠実に守ろうとする。
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もちろん、イザというときは使わねばならぬと思っている。
「使うな」に逆らわないのと同じように、「使え」と言われたら使う所存である。
だから「使え」の指令を待っている。
非常時に、いったい誰が「使え」の指令を出すのだろうか。
ホテルの人?消防署?サバイバル意識の高い、映画ヒーローのようなお客?
ここであなたは、「少なくとも私ではない」と思っているはずだ。
困ったことに、誰もが同じことを思っている。
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