前回までのあらすじ
会議室の机を新しくしたので、今度から会議室がいかにも会議室らしく使えるようになって満足している。
あいかわらずの感染症禍で以前のような行き来は少なくなったけど、たまにはお客さんを迎えるし、社内ミーティングはしょっちゅうやっている。
なんにせよ、広い机はすこぶる使いやすい。
ところで、アレはなんですか
イグジットに来た人ならおわかりだろうが、現在会議室はこのような状態になっている。
おわかりだろうか。
一部がビニール貼りの天井から、緑色のホースがにょろりと伸び出ている。
半透明のビニールだから見えるけど、天井にかなり大きな穴が開いている。
「イグジットに来た人ならおわかりだろうが」と書いたけど、会議室に入った人がこの天井やホースに言及したことは一度もない。
気づいてないのか?それとも、見て見ぬふりか?
風呂水が降る
実は先月、イグジットは突然の水漏れに見舞われた。

雨漏りなんて生易しいものではなさげな、茶色い液体。
3階建ての鉄筋で、2階の天井から水が滴るとなれば、なんらかの生活用水に決まってる。
なにしろ3階は一般住宅だ。
間取りからいって、会議室の真上はお風呂。
イヤな予感しかしない。
屋根裏の謎
この一大事に、大家さんと3階の人となじみの施工業者さんが一堂に会し、天井を剥がして中を見てみて、出た結論はこちら。
3階のお風呂から漏れる水を受ける水槽があふれた。
ちょっと待て。
お風呂の水漏れはいいとして、それを受ける水槽ってなんだ。
水槽が天井裏に設置されてるって、どういう施工だ。
さらに、
排水用のドレンホースがあるが、うまく排水できていない。
ちょっと待て。
排水用ドレンはいいとして、そのホースはいま天井裏から出てきましたよ?
とり急ぎホースをベランダに誘導して排水させてるけど、いままではどこに流してたんだ?
謎だらけの施工をほじくりたいが、店子であるイグジットは言う立場にない。
なにぶん私と同級生ってくらい古いビルなので、現代から見るといろいろとアレな施工が随所にあるのだろう。
受容するしかない。
古いビルはいい
古いビルが好きだ。
店子が入れ替わるたびにお色直しをしてはいても、隠しきれない昭和テイストが随所に残る。
そこれがいい。

ドアのすりガラス。母親の実家感がものすごい。
ダサいと蔑まれた時期を乗り越えれば、レトロとして迎えられる。
さらにもうちょっとがんばれば、いよいよアンティークの域に入る。

令和では入手困難となってしまった角丸タイル。
去年まで、イグジットのトイレは和式だった。
トイレと呼ぶのは気恥ずかしいほどの便所だった。
ちょっとした不便はあるが、この風情は好きだ。

フォント崩れを起こす銘板。濁点はすでに消失している。
なにが言いたいかというと
イグジットに来た人は、会議室の異様な光景に気づいてほしい。
そして話のネタにしてほしい。
きっとオモシロいから。

だって「漏れ水を溜める天井裏の水槽」だぞ?
このほど、天井裏に長年たまった風呂水が染み出てきたわけだが、これはこれでオモシロい経験であった。
「天井裏の水槽」なんてパワーワード、自分じゃ思いつきもしないだろう。
(営業に支障のない範囲だったから気楽なことを言ってられるのだが)
なお、この天井はほどなく修繕工事される予定。