
ひとつかみの紙芝居。
紙芝居というパフォーマンス
紙芝居とは、描かれた数枚の絵を、ストーリーに沿って重ねてある。
読む方は、1枚目から順に観客に見せながら語っていく。
見せ終わった絵は裏に回して読み進んでいく。
つまり、表が絵・裏がストーリーという作りになっている。
観客と読み手が向かい合っての交流が、紙芝居のダイゴミなのである。
向かい合うのが前提の紙芝居であるが、向かい合わない場合もあるということをご存じだろうか。
そして向かい合わない場合の読み方をご存じだろうか。
ひとつかみの紙芝居
子どもは紙芝居が好きである。
わが子の場合、図書館に行くチャンスがあれば、まっさきに紙芝居コーナーに駆け寄りひとつかみ持ってくる。
ひとつふたつ、ではない。ひとつかみ、なのである。
貸出制限の10冊すべてが紙芝居。
そして今夜も、寝物語は紙芝居。
向かい合わない場合
子どもと布団に並んで寝る。
絵本であれば、このままのポジションでなんなく読み聞かせがスタートする。
ところが今夜は紙芝居。
構えてみても、正面にあるのはタイトルつきの1枚目。絵だけである。
なんの心配もいらない。
このまま読み始めればよい。
ヒントはタイトルと絵。
これだけの情報があれば、なんとなくストーリーが想像できるではないか。
今こそ、これまでの経験を集結させるとき。
問題は、2枚目以降
紙芝居で唯一の、文字のある1枚目が終わったら、あとはホントにまるっきり絵だけである。
このあとどんな展開になるのか、想像もつかない。
ここで、正しいストーリーを求めてしまっては、このアクロバット読みはできない。
行き当たりばったりでいいのだ。
自分の作り上げたストーリーが、この直後に崩壊するとか行き詰まるとか、そんな心配をしていたら冒険なんかできやしない。
勇気を出して突き進もう。
アクロバット読みの対象年齢
このアクロバット読みがウケるのは、しょーもない下ネタが大好きな年ごろ。
男子なら、なおウケやすい。
突拍子もないストーリー展開、お母さんの見事なアドリブに、子どもは大喜びする。
ゲラゲラ笑って、布団の上をのたうち回る。