私たちの身の周りにはさまざまな非常グッズが用意されている。
非常時に備えて自分で用意しているという人も多いだろう。
でも、自分のピンチで実際に使ったことがあるという人は少ない。
当然ながら、「ふだんからあたりまえに使ってるよ!」という人は極めて少数だ。
アウトドアの危機、初体験
半年ほど前から登山を始めた。
タイプの違う夫婦が一緒に楽しめる数少ないレジャーなので、休みのたびに積極的にいろんな山にチャレンジしている。

(別府・扇山にて)
上天気が見込まれた今年の元旦、軽い気持ちで山へ出かけた。
予報通り山は上天気だったが、登山口までの道路が凍っていた。
これまでアウトドアに縁のなかった夫婦なので、冬山の作法など皆目わからぬ。
仕事のときは冬の山越えにチェーンを用意するのに、気の抜けたレジャーとなったらこのありさま。
しかし、ここで悔やんでも時遅し。
あとちょっとで登山口に到着するというのに、どうにかして先に進めないものか。
という状況で、道端に用意されてる融雪剤を使ってみた。
初体験である。
融雪剤とは
融雪剤とは、文字通り雪を解かす薬剤で、凍結や積雪の恐れのある道路に用意されている。
路肩に積んである袋の存在は知っていたが、これまで使う機会がなかった。
だから「積雪=融雪剤」という発想はなく、立ち往生して途方に暮れていたところ、たまたま路肩の袋が目について使っただけである。

左の路肩にあるのが融雪剤の袋。
袋には粒状の融雪剤が詰まっていた。
この粒を道路に撒くと、みるみるうちに雪が解けていく。
前輪の前とタイヤが通るであろうルートに集中して粒を撒く。
おかげですぐに難所を抜け出せ、無事に登山口までたどり着くことができた。

山頂付近もまぁまぁの積雪。
知識だけの非常グッズ
さて。
私たちは、非常グッズがなんのためにあるのかという知識は持っていても、使うタイミングの意思決定や使ってみた感じ、使ったあとどうなるのかなどの経験を持っていない。
知識だけでは片手落ち、という自覚もないだろう。
今回の融雪剤は私にとってまさに「知識だけの非常グッズ」だった。
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しかし、自分で使ってみたんだからもう大丈夫。
今度から私は、積雪で立ち往生したらまっさきに融雪剤を思いつき、道端の袋を利用するだろう。
いや、路肩の袋をチェックしながら走行するだろう。
なんだこの力強い安心感は。
(いや、まずチェーンを用意せよ)
あなたにとっての「知識だけの非常グッズ」はなんだろうか。