
相手が人形だとどうしても、「意識と呼吸の確認」をすっ飛ばしてしまう。
実行不能なマニュアル
1分1秒を争うとき、一番やってはいけないのはムダな時間を生むことである。
人の命がかかっているときならなおのこと。
ムダな時間を作らないためには、やるべきことを知っておくというのが有効。
だから覚えよう。
胸骨圧迫は、胸が5cm沈むほどの強さで、1分間に100回のテンポで30回。
続く人口呼吸は、1秒かけて1回息を吹きこむのを2回続ける。
って、こんなの覚えてられるか!
人の命がかかってるというときに、こんなの思い出せるか!
救命処置はシンプルに
学校で毎年行われる、PTAを対象にした普通救命講習。
今回の講師は消防署の救急隊職員。
救命処置の、まさに現場にいる人である。
現場の、リアル体験に基づく講習だからオモシロイ。
「人工呼吸を躊躇するような状況なら、とにかく胸骨圧迫を続けてください」
人工呼吸を躊躇するような状況とは、知らないオッサンがゲロ吐いて心肺停止!とかいうときのこと。
やるべきか・やらざるべきか、とか迷っているうちにオッサンの脳は酸欠して死んでしまう。
そんなことでムダな時間を発生させるくらいなら、最優先事項を遂行せよ。
最優先すべきは、脳に酸素を送ること。それが胸骨圧迫。
軽い気持ちの集まり
救急講習を受けたら人の命が救える、というわけではない。
そもそもそんな場面に出くわすことさえ極めて稀である。
だけどもしもそんな場面に出くわしたときは、講習でやったことがなにかひとつでもやれればいい。
意識の確認でも、119番通報でも、人を集めてくるでもいい。
そういえばやったことある!という軽い気持ちでいい。
ひとりが全部をやらなくても、軽い気持ちがいくつも集まれば命が助かる可能性は十分に高くなる。
これもまた、現場の人のリアルな言葉。

救急車が到着するまでの約8分間=胸骨圧迫800回