共同住宅に点検に行く
共同住宅の消防点検では、基本的にすべてのお宅に入らせてもらう。
現場には2~3名で行くが、住居にはひとりで入ることもある。
玄関でピンポンを押して、部屋の人が出てくるまでの間は緊張する。
だって恐いもん。
どんな人が出てくるかわからないじゃないか。
点検日は前もって予告をする。
心がまえと準備をして待っててくださるお宅もあるが、半分くらいは「えっ、今日だっけ?」てな反応だ。
義務とはいえ、消防点検なんて一般的意にはちょっと小迷惑な行事なのだろう。
あからさまに不機嫌な感じで出てくる人もいる。
向こう側からしてみれば
だけど、お互いさまなのだ。
入居者にとっては、どんな人が点検に来るのかがわからないのだ。
どちらかと言うと、見知らぬ人が自分ちに上がりこんでくるというほうがストレスは多いのじゃないだろうか。
しかも訪問者は、背丈くらいの棒をかついでやってくる。
天井の火災感知器を調べる道具は、伸縮自在の丈夫な棒だ。
そしてこの棒は、熱感知器を点検するやつなので先端に熱源を持っている。
十分、武器になる。

「ピンポーン!点検でーす!」(実際に持って行くのは左の武器)
熱い棒をかついだ見知らぬ人物が自分の家に上がりこんでくる。
警戒するのも当然だ。警戒している人が不機嫌な態度になるのは当然だ。
むしろ、ドアのスコープからのぞいてみて、こんな出で立ちの私を見て、それでもドアを開けてくれるというのがありがたい話である。