どれにする?
どれでもいいんだけど、どれかに決めねば。
どれもいいからこそ決められない!
そんなときこそわが夫の出番である。
お好きなものをお選びくださいという自由

カタログギフトという文化に初めて出会ったムスコ。
披露宴の引き出物で、カタログギフトをいただいた。
このカタログの中から、どれでも好きなものを選んでいいのだ。
選んで注文すれば、願いの品物が手元に届くのだ。
夢のようなスペシャルギフト。
このシステムに初めてふれたわが家の子どもたちは大興奮。
子ども3人で集まって、すべてのページをめくってみる。
それぞれの品物に「コレいる!」「コレいらん!」と好き勝手な評価をひとしきり。
だが、すべてのページをめくっても、なにを選ぶかは決めきれない。
分厚いカタログには魅力的なものがたくさんありすぎる。
どれでも好きなものを選んでいいという、カタログギフトのシステムが嬉しすぎて決めきれない。
そうして第1日目が終わった。
忘れたころにお届けします
注文すればストレートに手元に届く品物がほとんどだが、すぐには手に入らないものもある。
旬の時期に届く季節モノだ。
例えば果物。
いちご、メロン、みかん、さくらんぼ、梨、りんご、桃。
みかんや梨は旬の今、すぐに手に入るが、いちごは次の春まで待たねばならない。
メロンやさくらんぼに至っては、夏までおあずけ。
どれもこれも、ふだんは買わない高級品。
忘れたころにやってくるすてきな果物って、オモシロそうじゃないか。
うん。果物を注文しよう。
早起きする人は得をしている
さて、どの果物にしようか。
翌朝、早起きしてきたムスコと一緒に検討する。
余談だが、子どもの中でいつも早起きを「させられる」ムスコは、大人ふたりのいいことに同席するチャンスがよくある。
やはり早起きは三文の得なのである。
データ整理は俺にまかせろ
早起きの役得はあるものの、決められないのは前日と同じ。
どれもこれも高嶺の花で、これという決め手を見つけきれない。
そこで夫。
「この中で、これはいらないなって思うのはどれ?」
どれがいいか?ではなく、どれはいらないか?という逆からのアプローチ、消去法である。
ナルホド。
この人、こういう交通整理がうまいんだよな。
取り散らかした情報のかけらを集めて分類し、分析し、そして結論を出す。
こういうことを得意とするのがわが夫。
なんと優れた能力であろうか。
果物選手権
それでは果物を選別していこう。
真っ先にみかんとりんごが外された。
どちらも食べ慣れていて、ふだんのもので十分満足しているからであろう。
そしていちごもドロップアウト。
おいおい、それはただのいちごじゃないぞ。ブランドいちご・あまおうだだぞ。
わかっているのかムスコよ。
桃もリストから外された。
「いっぺんにたくさん届いても傷むばかり」という、小学生らしからぬ却下理由。
そして最終選考まで残ったのは、さくらんぼとラフランス。
ここでまた迷いに迷う。
今度こそ「どれがいいか?」で決めなくてはならない。
さくらんぼとラフランスの条件
再び夫の登場。
それぞれのメリットとデメリットを提示する。
さくらんぼ
メリット: よく知っている果物なので確実。がっかりしにくい。
デメリット: せっかくのスペシャルギフトにしては意外性がない。
ラフランス
メリット: 初めての味を体験できる。
デメリット: ひょっとしたら好みの味ではないかもしれない。
わかりやすい!
こういう仕事をこの人に任せて、後悔したことなどただの一度もない。
確実に情報を整理して、選択肢を作っていく。
なんてわかりやすいんだ。
結局どっちがいいんだか
わかりやすいが、さらに迷う!
棚ボタみたいなギフトなんだから、子どもの選択の自由を広げて迷宮に誘いこむよりは、大人の都合で誘導した方がいいんじゃないのか。
私がさくらんぼ推しなのを、なんとなく察しているだろうに。
ムスコよ、そのさくらんぼは、缶詰のさくらんぼともアメリカンチェリーとも違うのだぞ。
山形県産の、すばらしいさくらんぼなのだぞ。

最終選考に残った「ラ・フランス」は直筆で。