知らない土地に行くのは楽しい。
オモシロい送水口を見ることができるんだもん。
送水口とは、消火の水を建物内に送るための配管・連結送水管の入口のとこ。
連結送水管は、高い建物・広い建物についている。
だから、高層ビルの立ち並ぶ都会を散策するのがオモシロい。
味のあるお宝送水口は、真新しいビジネスビルよりも、何十年も街の変化を見つめ続けてきたような古いビルによく見られる。
だから私が好んで歩くのは、大通りから1本中に入った裏通り。
イザというときに使いやすければそれでいい

首までずっぽり埋められ、中途半端にレンガをあしらわれる。
ふだん見慣れた送水口とサイズが違うってだけでオモシロい。
土地の使い方の都合でここまで埋めることになってしまったのか、それともムリヤリ切断したのか。
かなり低い位置にあるけど、消防隊的にはどうなんだろう。使いやすいのか否か。
気になるポイントがいっぱい。
職人の腕の見せどころ
簡単に移設できない送水口は、変更の際になにかと問題になる。
設置当初はノーマルだったのに、改装するたびにムリが生じてくるパターンというのがある。
そのムリぶりが古い送水口のダイゴミ。
身内化

明るいうちから一杯ひっかけてる感の、酔いどれ送水口。顔も赤い。
送水口は周りのシチュエーションによって見ごたえが増す場合がある。
特にこの手の自立型は、他のものとのコンビネーションがよくてなじみやすい。
ビルが建ったときからの長い付き合いなので身内のように扱われている、そんな姿はよく見かける。
あい反するふたつ

水を送る送水口の隣に、水を吐き出す放水口。水の流れるルートが謎。
1本で立っている自立型とは違い、これは壁への埋込型。
送水口とは読んで字のごとく、水を送る口である。
そして、放水口も読んで字のごとく、水を放つ口である。
送りこんだ水を放水口から放ってビル内の消火をするのだが、この場合は送水口の隣に放水口がある。
この配管ルートはいったいどうなっているのだろうか。
私の雑な知識では解説のしようがないのだが、老舗デパートの設備なので今さら間違いはないのだろう。
タッチの差で見のがす
一度でいいから送水口を設置する瞬間を見てみたい。
建設中のビルがあれば、ときどき赴いて送水口が設置されたかどうかを確認している。
このほっかむり送水口は、ついさっき設置されたばかりではないだろうか。くそっ、見のがしたか。
送水口の設置は水道屋さんの仕事なので、私にとってはレアなタイミングなのだ。
こき使われるパターン
目印的に使われるのも自立型ならでは。
送水口がごみステーションの目印にされているのは、さほど珍しくないパターンである。
送水口は、消防車が横づけしやすい道路沿いに設置される。
そんな場所はごみ収集車だって横づけしやすいのだから、仕方があるまい。
起こるかどうかわからない非常時をひたすら待ってボーッと立ってるんだったら、そのスキマ時間にごみステーションの目印にでもなれば一石二鳥である。
ときにはチームで
擬人化しやすい自立型の典型。
すっかりSPと化している。
右端の形の違うやつは採水口なのだが、これが隊長だな、たぶん。
護衛しているのは、言わずと知れたV6の岡田准一氏。
アイドルの護衛もしちゃう送水口群。
ちなみにこれは、日本特殊陶業というスパークプラグを作っているメーカーのポスター。
余談だけど、「特殊」の文字が社名に入ってるなんてカッコイイなぁ。
どこへ行ってもこんなふうに消防設備を見て回っている。というより、見ちゃう。
他人には、なにが違うのか、なにがオモシロいのかサッパリわからないかもしれない。
しょっちゅう気にしていてたくさん見て目が慣れているからこその愉しみ。
古いビルの陰でこの愉しみを分かち合うべく、夫に写真を送る。
私とは比べ物にならないくらいの知識と事例を持っている夫だけど、こういう愉しみかたはあまりやらない。
そんな夫に写真を送りつける。