コドモの作品
コドモが大型の作品を持って帰ることがある。
学校の授業で制作した作品なら、その大きさはある程度の範囲内だ。
絵だろうが立体的な工作だろうが、それぞれの机の上で制作が可能な大きさであろう。
したがって家庭での保管もしやすい。
ところが幼稚園や保育園などの未就学児が持って帰るものは違う。
学校と違い、コドモの豊かな感性を完全フリーで解放させているためか、できあがった作品は大きさも形も飛びぬけていることが多い。
感性のまま、実物大で作る
末っ子の通うこども園では、遠足で動物園を見学したあとに工作で動物を作る。
ナマの動物をまぢかで見たコドモたちは、興奮冷めやらぬうちに工作活動に入る。
そのため、それはそれは迫力のあるリアルな作品ができあがる。
数日にわたるこの制作イベント、完成の暁には「どうぶつえんごっこ」という続編イベントにつなげられる。
こども園の年間行事として定着しており、園児も楽しみにしている中規模イベントなのだ。
事前の材料集めの段階からして気合が入っている。
どこから調達してくるのか、冷蔵庫の箱とかエアコンの箱とかテレビの箱とか、大型の材料がぞくぞくと集められるのだ。
冷蔵庫の箱はゾウになり、エアコンの箱はキリンになり、テレビの箱はカンガルーになる。

イグジットからは消火器の箱を提供。動物の足にうってつけ。
小動物であってもバカにはできない。
モルモットやリスザルは、いつだってコドモたちに大人気。
だからこれらの小動物も制作される。
大量に!
大量に!
大量に!

大量の小動物。
わが家にやってきた動物
そんな本気度の高い制作イベントで、末っ子はサイを作った。
そして持って帰った。
ここまで大きな作品になるとこども園側もご家庭を気づかってくれ、たとえコドモが持って帰りたいと言っても一旦は保護者に確認をしてくれる。
「○○くんが持って帰るって言ってるんですけど‥‥大丈夫ですか?」
先生だってオトナだから、自宅のリビングにこのサイズの作品が鎮座するのがどういうことなのか十分に理解している。
ガムテープをふんだんに使って強固に作り上げられた作品は、廃棄のために分解するのがメチャクチャめんどくさい!というのも知っている。
だから、保護者が持ち帰りに難色を示せば、コドモへの説得を仲介してくれたりする。
もはや止められない
わが子がこのサイを持って帰るといったときも、先生はちゃんと私に確認を取り、必要があれば末っ子を説得してくれる姿勢を見せていた。
だけど末っ子はサイを持って帰った。
なぜなら、私が承諾したからだ。
だって末っ子が持って帰りたいと言っているんだからなぁ。
その気持ちを阻止することはできないだろう。
もう好きなようにしていただいて、家でかわいがって遊び倒してボロにして、そして末っ子の気持ちが冷めたころに本人が納得して破棄すればいいや。
リビングに据え置かれたサイはやがて、よりジャマになりにくい玄関へと移動させられ、わが家を訪れる人を出迎えている。