突然の性転換
このたび、ずっと男だと思ってた人が実は女であることが判明した。
これは、社会的少数者とか性同一性障害とかいう話ではない。
私が勝手に男だと思いこんでいただけだ。
その人のことをそれほど深く知っていたわけではない。
存在を認識していただけ。
あそこにあの人がいる、ということを知っていただけ。
その薄い認識では、その人は男だった。
ところが、ほんのちょっとお近づきになってみたら、その人はなんと女だったのだ。
おやまぁ。
率直な感想、「へー」
‥‥でもさ。
だからどうだってんだ?
その人が女だから付き合っていたわけではない。
そもそも、たいして深い付き合いをしていたわけでもない。
男であるか、女であるか。
その違いは、私にとって実に些細なことだった。
まぁどっちでもいいや。
年齢にこだわる
若いか、年寄りか。
年代はどれくらいなのか。
自分との年の差はどれくらいあるのか。
以前はそういうことがとても気になっていた。
「私より若いのにこんな‥‥」
「いいトシしてるのにあんな‥‥」
「同級生だ!」
その人について、まず年齢でざっくり仕分けしていた。
だからまず最初に歳を尋ねる。
あからさまに聞けないときには、それとなく誘導してそのデータを入手してきた。
そして、若い人に対しては「すごいところがあるのは認めるが、必ずまだ未熟なところがあるはず(なければならぬ)」なんて考えるのだ。
同じように、年配の人には「このトシになるまでこの人は、いったい何をやってきたんだろ(足りないところがありすぎる)」。
同年代の人には「だいたい私ぐらいの経験をしているはず(していなければならぬ)」。
そうやって年齢で人を仕分けする自分の癖がイヤだった。
この癖から抜け出したかった。
こだわるのは別のとこ
だけど、今は違う。
好きなことで生きているいろんな人と会うようになってから変わった。
その人の好きなことを見せてもらうのが忙しいので、年齢で仕分けているヒマがない。
お付き合いが続いて、ひょんなことから年齢が判明したりすることがある。
「えっ、同い年だったの!?」
それでおわり。
同級生だったりすると多少の親近感はわく。
だけどそれっきりだ。
だって、同じくらいの時間を生きていても、その中身はまるで違うってことがわかったもの。
おかげですごーくラクだ。
その延長でいつのまにか、性別さえも気にならなくなっちゃったんだなぁ。