百人一首の季節
年末年始といえば百人一首。
学校で年始に開催される百人一首大会に向けて、ムスメ商店が100個の句を暗記しようとする時期だ。
いろはカルタやおはなしカルタは家にたくさんある。
末っ子がこども園からのクリスマスプレゼントでもらってくるので、今年もまた新しいおはなしカルタが1セット増えた。
しかし百人一首はない。
私が学生時代に使っていた本しかない。
机上でやる暗記も悪くないが、どうせなら実践しながら覚えたいところ。
そこでムスメ商店、百人一首を作り始めた。
え?
もう一度言う。
ムスメ商店が、百人一首を手作りし始めた。
なければ作る。
我がムスメながら、いい根性をしていると尊敬の念すら感じる。
私がこの人に教えることなぞ、もうなにもないのではないだろうか。
ということで、今日は、百人一首を手作りするドキュメントをお送りします。

作業中はどうしても「つらぬきとめぬたまぞちりける」状態になりがち。
取り札を作る
まずは取り札を作るため、100枚の厚紙を製造する。
家中から空き箱を探してきてチョキチョキ。
弟も動員して作業をさせる。
かき集めの材料を使っての製造なので、1枚1枚の色合いが違う。
だが、100枚作ることが最優先なので気にしない。
若干のサイズ違いも気にし(てられ)ない。
そうして家中からありったけの空き箱を集めて、ひたすらチョキチョキ。
しかし、あと少しで100枚に足りず。
やむを得ずムスメ商店本人が、ご自慢の空き箱コレクションから秘蔵の空き箱を泣く泣く出してきた。
さらなるチョキチョキ作業を経て、ついに100枚のカードができあがった。
さぁ、これに下の句を書こう。
知られざるルール
この情熱にあてられて、古典好きの私も協力を買って出る。
見つけやすいように書いたげるね、なんて甘い気持ちで始めたが、ムスメ商店からの叱咤が飛んでくる。
取り札の表記にはルールがあるというのだ。
5行3列。
これが取り札のルールだ。
言われてみれば、取り札の文字は等角フォントみたいに並んでいる。
書きにくいっ。
百人一首はずいぶんやったもんだけど、取り札の表記にそんなルールがあったなんて今まで気にしてなかった。
古典好きとか言いながら、不覚である。
読み札を作る
百人一首だから100枚作ればいい、というものではない。
読み手が読むための読み札が、これまた100枚必要である。
取り札の表記ルールで萎えた私にとって、さらに100枚の追加生産は気が遠くなる作業。
読み札には上の句と下の句が書いてある。
さらに、その歌を作ったと言われる人物のイメージ図も一緒に描かれている。
しかしなにぶん手作業であるから、この際イメージ図は省略しよう。
読み札の素材は厚紙でなくてもいい。ペラペラでいい。
メモ帳を適当な大きさにカットし、一句一句書いていく。
読み札の書き方には、特にルールはないらしい。
今度こそ、読みやすいように書いたげるね。
しかしまたムスメ商店から諸注意が発せられる。
「小学生の弟にも読ませる予定だから、漢字の表記には留意するように」
なんだかんだ言っても、ムスメ商店が弟想いであるのは確かだ。
ムスメ商店の強み
ムスメ商店がときおり見せるちからわざに、私はビックリさせられてばかりいる。
ムスメ商店は非常に根気強い。
これ!と決まったことはトコトンやり抜く。
悪く言えば、完璧主義でこだわりすぎでしつこいのだが、この粘り強さはムスメ商店の持つ素晴らしい才能である。
この力が備わっているムスメ商店、社会に出た暁には適所で大活躍するに違いない。

充分楽しい。
続けて読みたい、教育には金がかかるという続編