土曜日の仕事
半年ごとに消防点検をする。
だから半年ごとにお客さんのところに行く。
今日はマンションの消防点検。
マンションの点検は、在宅率のよい土曜日にやる。
土曜日なので、家に子どもがいる。
よみがえる記憶
とある玄関で、ピンポンをして待っていると男子がふたり飛び出してきた。
どちらも、うちの男児くらいの小学生。

わが家の男児。
ふたりとも興味津々で私の仕事を見ている。
天井やクローゼットの感知器を調べるのを、ついてきて眺めている。
熱を感知したサインのランプがつくたびに、「あっ!ついた!」と目ざとくみつけて反応する。
そうだ!
思い出したぞ。
半年前もこの家に来た。
そしてこのふたりが、今日みたいに私についてきた。
まったく同じパターンだ。
今日のこと、次回のこと
思い出したよ。
前回のときにも会ったよね。
そして君たちが、おやつのおすそ分けをくれたんだった。
そう言ったとたん、ひとりが台所へ走っていった。
そしてこれをくれた。

今日のおやつ。
こういうのが、定期的な仕事のオモシロさ。
だから私は今日のことをメモしておく。
2度目に会ったときにもおやつのおすそ分けをくれた男の子たちのことを。
「今度来るときには私がオミヤゲを持ってくるね」
そう言ってその家をあとにした。
このこともメモしとかないとね。