私の日常はあなたの非日常
消防点検の仕事をしているせいで、私はちょくちょく避難器具を使う。
集合住宅についている折りたたみ式のハシゴなんかは、もう慣れたもんだ。
しかし、業界以外で避難器具を「使ったことがある」という人は極めて少ない。
そんなものを使うような非常事態に遭うこと自体がまれだし、使い方どころかその存在すらも知らない人のほうが多い。
自分ちのベランダについてなければ、わかんないよね。
よしんば使い方を知っていたとしても、使うのはメチャクチャ怖いはず。
ベランダにぽっかり空いた四角い穴から下の階が見える。
それどころか、地上が見える。
そんな状態で、ユラユラ揺れるハシゴを降りる。
ハシゴを使うための最初の手順、「ハッチを開ける」だけでもうダメという人もいるはずだ。

ステップ① ハッチを開けて階下の安全を確認する。
自分がふだんの仕事で当たり前にやってることが、他の人にとってはものすごくレアな体験だってのはオモシロい。
避難器具
集合住宅についているのは、たいていこんなハシゴ。

ハシゴを伸ばして使う。
避難器具にはいくつかの種類がある。
学校なんかには、救助袋と呼ばれる避難器具が採用されていることが多い。

急降下するイメージの使用例。
救助袋はストローの袋みたいなやつで、丈夫な布製のトンネルをくぐって地上へ避難するもの。
周囲が見えないので高いところから降りるときの恐怖感が少ないのと、ハシゴと違って握力を必要としないのが大きなメリット。
上のイラストではスットーン!って落ちるイメージになっちゃってるので、恐怖を感じる人もいるかもしれないけど、実際は袋の中のらせん状の仕組みにそってズルズルとずり落ちる感じ。
むしろ、もどかしいくらい。
救助袋を使ってみよう
どんな感じになるのか、動画で見てみよう。
これは、アレだね。
消化の最終工程で、大腸の中をぜん動運動で移動する健康的なアレ。
イラストはスットーン!で、ちょっとオナカがゆるいイメージだけど、実際の救助袋はぜん動運動なのでどうぞ安心して使用していただきたい。

ステップ④ 排出。