今日の「強く押す」

だいぶ年季の入った「強く押す」
おなじみの「強く押す」ボタン。
古いビルに設置されているものなので、設備も旧製品。
「強く押す」のプレートは押すと割れるタイプ。
もう何十年も、ここでこうして人の世の動きを見てきたに違いない。
よく見ると、「強く押す」のそばに手書きの文字がある。
押さないでください。
「強く押す」ボタンの注意書きなのに、「押さないでください」とは。
こういうのがあるから、古いビルをめぐるのは楽しくてしょうがない。
押していいの?
「強く押す」のボタンは押していいのか?
火災を発見した人が、周囲に知らせるためにこのボタンを押す。
ボタンを押すと同時に、消火のための機器を作動させることもある。
管理者や警備、場合によっては消防署への通信が連携していることもある。
それが「強く押す」の前提だ。
非常用のものだから、ふだんのときには使わない。
悪ふざけで押すなんてもってのほかだ。
「強く押す」がしょっちゅう押されていたら、イザというときにその機能が信用されなくなってしまう。
まさにオオカミ少年だ。
押さないでください
最初にあげた画像の古い「強く押す」も、イタズラでしょっちゅう押されるのだろう。
その対策に「押さないでください」との注意書きがあるのだ。
なにしろ現場は歓楽街。
いい気分になったヨッパライが、「強く押す」の文字につられて押しちゃうのかもしれない。
いつでも使えるようにしておかなければならないが、そうそう気軽に使ってもらっちゃ困る。
ヨッパライを相手にしなきゃならない歓楽街における、独特の苦労である。
こういうのがあるから、歓楽街の古いビルはオモシロいのだ。

ついに押せないように改造してしまった歓楽街も。