
防災対策のしめくくりに「ステップダン」
カタい業界のデザイン
消防用の機器は、それはそれは厳しい国家検定をクリアしてから世に出ている。
人の命がかかっているのだから当然だ。
仕様の段階で、形状・技術の両面で検定・規格に合っているかどうかを調べる。
個々の製品においてもまた、合格した仕様と同じものであるかどうかを調べる。
つまり、雑に言うと、カタくて大がかりなのだ。
カタくて大がかりだからこそ、人の命や財産を安心して託すことができるわけだ。
しかし反面、気軽なリニューアルがしにくいという難点が生じてしまう。
ちょっとしたデザインの変更なんて、そうそうたやすくできるものではない。
人の命とデザインとを天秤にかければ、結果は明らか。
だから、一度決めたデザインが長年利用され続けることがある。
カタログとか使用説明書とか。
時代は巡る
冒頭の画像は、避難ロープのカタログの一部である。
いつごろの時代のものか、一目瞭然だ。
ここまで古いと、もはや斬新ささえ感じてしまう。
「このミニワンピ、モダーンな感じじゃない?」
このカタログがいつごろ作られたのか。
そのヒントがメーカーのウェブサイトにあった。
トーヨー消火器工業株式会社
ウェブサイトで沿革を見てみると、1979年にこの避難ロープ・ステップダンが認定に合格したとある。
約40年前だ。
ファッションは30年ごとに繰り返されるという。
ミニワンピをモダーンと感じてしまうのもやむを得ない。
トップページで避難はしごを降りている団地妻風な女性も、やはり昭和の色が濃い。