【答え】いいえ。
ひとまず「いいえ」と返答させていただく。
倒しても中身は出ません。
倒すと出るやつ
倒すと中身が出る消火器は、ある。
倒すだけで初期消火スタート!の、実にお手軽なシステムの消火器がある。
出てくる中身は化学泡。
容器の中で2種類の薬剤を混合させると泡が発生するという仕組みになっている。

倒すと出るやつ。
「だったら全部の消火器を倒すと出るやつにすればいいのに」と思ったあなた。
バカだねぇ。ここは地震国・ニッポンですよ。
グラッとくるたびに、あちこちで転倒した消火器から泡が噴き出たらたまんないでしょうが。
火事場に運ぼうと、あわてて横抱きにしたとたん泡が噴き出たらたまんないでしょうが。
どこで使う?
ちなみに上の写真、場所はフェリーのラウンジ。
「倒れたら出ちゃう消火器が、波に揺れるフェリー内に置いてある!?」と思ったあなた。
いくらなんでもそんなアホな置きかた、するわけがないでしょうが。
ひっくり返すだけで中身が出ちゃう消火器は、現在は製造されていない。
使い勝手のアンバランスさゆえの絶滅と言える。

昭和40年代には、ご家庭にも倒す消火器があったらしい(いじわるばあさん/長谷川町子より)

そしてこれが現物。(うっかり倒して泡だらけになったせいで汚れている)
容器内の封を破るとかハンドル式の蓋を開けるとか、使う前に2段階の動作が必要なものに変わっている。
というわけで、フェリーに置いてある消火器も、2段階動作のやつなんですよ。
倒しても出ないやつなのに、倒れて出るとき
そこらへんによくある消火器、一般的な粉末消火器なのに「倒したら出ちゃいました」ということがあるらしい。
レバーをロックしている安全ピンは、比較的軽い力で抜けてしまう。
安全ピンが抜けちゃうと、倒した拍子にレバーが動いて中身が出ちゃうということは考えられなくもない。
当たり所が悪かったというやつだ。
一度出たら出っぱなしの加圧式だと、中身をすっかり吐き出してしまうまで止まらない。
なんとも厄介なことである。