ひとりっ子の私から見た5人家族のいとこの家

こどものころの思い出

いとこの家はいつも雑然としていた。
テーブルには食べかけのお菓子、床には読みかけのマンガ。使ったあとのタオルがイスにかかっている。
玄関は家族みんなの、主にこどもたちの靴でいっぱい。
子どもながらも「ここの家はなんでこんなに散らかってるんだ」と、遊びに行くたびに感じていた。

いとこの家では兄弟ゲンカが絶えなかった。
ちょっとしたことでネーチャンが弟を叱りつける。弟がネーチャンを叩く。
そして、仲介する両親の口調も激しかった。

いとこの家では勝負事も絶えなかった。
鬼ごっこでもトランプでもテレビゲームでも、すぐに白熱する。
たかが遊びだというのに、こんなに本気になる必要ある?

きょうだい

私と同い年のネーチャンは、下の弟をかわいがっていた。
ペアになる必要があるときには必ず下の弟と組んだ。
そして私に言うのだ。「上の弟はあなたにあげる」

私はペアになれればそれでいいので、上の弟だろうが下の弟だろうがどちらでも構わなかった。
年の離れた下の弟より、話が通じやすい上の弟のほうがまぁマシかな、ぐらいのもんだ。
この組み合わせで事態が丸く収まるのならそれでよかった。

憧れの生活

いとこの家は自営業だった。
両親は夜遅くまで働いていた。
学校が半ドンの土曜日、こどもたちは昼ごはんにカップ麺を食べていた。
ときにはこどもたちを家において、夫婦ふたりで夜の街へ出かけていくこともあった。

食事がカップ麺だなんて、こどもを残して親だけが遊びに出かけるだなんて、それってどうなの?
という批判的な意識があったわけではないが、自分の家との文化の違いに唖然としたものだ。

あぁ、今でも思い出す。
点線まで蓋をはがしたどん兵衛きつね。
そこへ熱湯を注いだ瞬間、立ちのぼるあの芳香。
憧れだったカップ麺ランチ。

うちでは、夜に出かけるなんてのもまずありえなかった。
わが家の家族は、夕方に帰宅したらそれっきり家を出ない。
夜に外出するとしたらやむにやまれぬ緊急事態にほかならない。

だが、いとこの家では遠方へのレジャーのために夜中・夜明け前に出発するということがしばしば行われていた。
そんなハードなレジャーに同行するときは、ワクワクがドキドキしてお尻のあたりがムズムズしっぱなしであった。

家庭カルチャー

いとこの家は5人家族。
両親、そして姉・弟・弟の3人兄弟。

私はひとりっ子の3人家族。
家庭内文化にギャップがあって、いとこの家では軽いカルチャーショックをしょっちゅう感じていた。

そんな私も結婚し、家族を持っている。
奇しくもいとこの家と同じ5人家族。
こどもが姉・弟・弟の組み合わせというところも同じ。
仕事は自営。

くりかえす生活

かくしてこの文章は振り出しに戻る。
「いとこ」を「私」に置き換えて。

自分の生活の中でことあるごとに懐かしさを感じる。
それは我が家の思い出ではなく、いとこの家の思い出。
雑然としていつも騒々しかったいとこの家。

今ならわかる。
なぜ床に物が落ちているのか。
なぜ姉と弟はケンカをするのか。
なぜ勝負事に発展するのか。
そして、土曜のランチがカップ麺である理由も。

なんだかんだ言っても、この生活が気に入っている。

注釈

※いとこの家の描写は、あくまでもこども時分の私の印象であることを付け加えておく。

※そして、いとこからの「子どもだけで夜をすごした記憶はない」という訂正も付け加えておく。

いとこだけはいっぱいいる会社

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