「ウチはIHだから火事にはならないのよ(はぁと)」
消防点検でお宅訪問すると、このようにノンキにのたまう奥さんに出くわすことがある。
ダンナさんに至っては、「火の気のないウチを点検する必要があるのかね、あぁーん?」とやや高飛車な態度。
そういう場合はたいてい「IHなんですねー!」と軽く受け止める。
そして、「火災の1割くらいは電気が原因なんですよ~」と豆知識を提供している。
電気火災
ふだんの生活でハダカ火を目にすることがほとんどなくなった。
台所はIH、暖房はエアコン。
ろうそくを使う仏壇はそもそもないし、タバコもやめた。
庭でたき火なんぞもってのほか。
ほとんどのものが電気に置き換わり、エネルギーを安全に利用することができている。
ところが一方で、「電気は安全」という油断から起こる火災は増えている。
火を使っているという意識がないので、火災のリスクどころか発生した火災にも気づきにくいという危うさ。
自動化されて無人になった場所でも電気だけはバンバン使っている。
安全性は高くても、電気だってエネルギー。
ひとたび暴走すれば火災を引き起こす。
それが電気火災。
5つのチェックポイント
電気火災の原因は、電気器具の使い方や使用環境がダメなときに起こる。
暮らしの中にあたり前のように存在している電気。
本当に正しく安全に使えているのか、家の中をチェックしてみよう。
□ 冷蔵庫とテレビとPC周りのめったに抜き差ししないコンセントのことは忘れている。
□ メンドクサイときはコード部分を引っぱって抜いている。
□ スッキリしているのが好きなので、長いコードはコンパクトに束ねて使う。
□ 軽い力で抜き差しできるよう、プラグはユルめに差している。
□ 室内で魚を飼っている。
【あわせて読みたい】
【梅雨の対策】あなたの家のコンセント、こんなことになっていませんか!?
魚?
チェックリストの最後の「魚を飼っている」。
これが意外な穴なのでご注意いただきたい。
ちなみに、わが家では金魚を飼っている。
この金魚がときどき水槽の中で跳ねる。
元気の現れなのかストレスなのか、とにかく金魚が跳ねるとと水が飛ぶ。
水槽にフタをして水はね対策をしているが、水槽のそばにはエアーポンプがありコンセントがある。
コンセントに水がかかれば出火する。
火とは縁のなさそうな魚・水槽だが、こうして火災の原因になるケースもあるという。
地震と火災
先に挙げたチェックリストのすべてが火災の原因になるわけではない。
そして、これらだけが電気火災の原因でもない。
しかし、地震のことまで考えるとやはりリスクは高い。
地震で発生する火災はたいてい電気火災。
阪神・淡路大震災でも東日本大震災でも、発生した火災の6割以上が電気火災だったという。
止まっていた電気が復旧したとき、配線がショートして火花が散る。
その周辺には長年積もったほこり。
そこまでなくても、揺れで生活用品が散らばった室内。しかも避難して無人。
地震のあとの大規模な火災はこうして起こる。
まとめ
安全性の高いエネルギーを使えるようになってはいるが、火災のリスクは相変わらず私たちの身の周りに存在している。
「ウチはIHだから火事にはならないのよ」
「火の気のないウチを点検する必要があるのかね」
それ、油断ですよ!