あの日に戻りたい?
いいえ。
楽しかったあの日
去年の今ごろ、浮かれた大人の文化祭に参加していた。
ゴキゲンな人たちが集まって、自分の好きなことを広げてみせるイベント。
おかげで、SNSの思い出タイムラインが赤メガネのツーショット写真でいっぱいになった。
あれはずいぶんと楽しいできごとだった。
いい思い出である。
しかし、あの日に戻りたいか?と問われたら、私は即座に「いいえ」と答える。
「いいえ」の理由
だって明日が忙しいもん。
今日よりも楽しいことがあるに違いない明日を迎えず過去にたゆたうなんて、とんでもない。
あさってもその次の日もずーっと先も、オモシロいことが起こるに決まっている。
幸い、時間は一方通行。
未来にしか進まない。
前にしか進めない。
戻れないのだ
学生のころ、とてもいい1年をすごしたことがあった。
クラスがいい感じにまとまり、担任とも強いタッグが組めて、さまざまな行事でみんながひとつになれ、いい思い出を作れた1年だった。
次の年度を迎え、入れ替わったメンバーにまだ慣れていないころ、「去年に戻りたい」とグチを漏らしたところ前担任がこう言った。
「過去にこだわってると前に進めないぞ」
当たり前のことを言うなぁ‥‥と、そのときはジレンマを感じたものだが、いま考えてもしごく真っ当なアドバイスである。
私たちは進むことしか選べないのだから。
思い出の使い方
前しか選べないが、過去は確実に存在している。
起こったことはもはや取り返しがつかない。
だから過去は戻るものとしてではなく、振り返るものとして使おう。
未来のために過去を使おう。