夢野さくら(28歳)という人がいまして、今年中にパン屋をやりたいって言ってたんですよ。
パン屋で働いた経験もあるし、弟が共同経営者としてサポートしてくれるようだし、材料の仕入れ先にもあてがあるそうだし、なにより彼女本人の「おいしくて健康にいいパンを食べてもらいたい」という強い想いがあったんです。
わがイグジットの創業と同じタイミングで彼女も準備を進めていたので、その縁で親しみがあって応援してるんですけど、まったく連絡を取っていないので、あれからどうなったのかちょっと気になっています。
彼女は、事業計画を作るとき「メロンパンとカレーパンに特化した専門店にしたい」と言っていました。
それを聞いたとき私は、メロンパンの甘さとカレーパンのスパイスが入り混じった店内の香りを想像しましたが何も言いませんでした。
さらに彼女はヨモギやゴーヤなどを使ったメロンパンのバリエーションアイディアについても語っていました。
それはもうメロンパンじゃなくてヨモギパンとゴーヤパンになってしまうんじゃないかと、ゴーヤが苦手な私は思いましたが、しょせん門外漢の感想。彼女がパン屋勤務で培った8年分のスキルを駆使すれば、ゴーヤ嫌いのお子さんでも喜んで食べるようなパンになるに違いありません。
ターゲットとする顧客層を考慮して、駅近辺のオフィス街にお店をかまえるプランがあったようなので、駅の近くに行くたびに彼女のお店・さくらベーカリーを探すのですがいまだに見つかりません。
あんなにパンを愛していた彼女。
パン屋を開くだけでなく、「メロンパンとカレーパンを語る会」を主催するなんて夢も持っていた彼女。
ひょっとしたら、資金繰りで行き詰ったのでしょうか。
融資の額を検討するとき、お父さんから200万円を援助してもらうという話をちらっと聞きましたが、どうもあの話、当のお父さんには寝耳に水の話だったようですし。