高嶋哲夫著「富士山噴火」
バカだのクズだの挑発的な言葉を多用し、アンチファンを相手にしたえげつない発信で有名なかさこ塾の塾長かさこ氏。
東日本大震災の爪痕を現地で取材したかさこ氏は、自然災害に対する警鐘を鳴らしている人でもある。
そんな氏が紹介していたのがこの本。
ぜひ読んでほしい一冊。災害パニックを考える良書「富士山噴火」(集英社文庫)高嶋哲夫著
シンプルすぎる感想
「九州に住んでてよかった!
とりあえず、九州で暮らしていることに安堵だね!」
この本を読んでいる間ずっと心のよりどころとなっていた感覚がこれ。
つまり、たとえ富士山が噴火しても噴石も土石流も溶岩流も、私の暮らす九州・大分には影響がないということ。
遠くまで影響すると思われる火山灰でさえも、偏西風に乗るのなら被害が出るのは富士山より東側だ。
よくある話
という、これが正常性バイアスというやつ。
正常性バイアスとは、自分にとって都合の悪い情報を無視して平静を保とうとする心の働き。
正常性バイアスのおかげで、日常の些細な変化にビクビクオロオロと疲弊せずにすんでいる。
しかし一方で、非常事態への対応が遅れるという危険もはらんでいる。
今回噴火したのは富士山。
私の住んでいる九州大分からとはずいぶん離れている。
直接の被害が及ばないのを理由に、私は、自分には関係のない出来事と思いこもうとしている。
同じ九州・熊本の阿蘇山や鹿児島の桜島の噴火を経験しているにもかかわらず、だ。
たとえ私が静岡県民だったとしても舞台である御殿場市民であったとしても、この正常性バイアスはさほど変わりがないだろう。
だってホラ、これって今日明日の話じゃないじゃん。
イヤなことをわが事として考えるのは難しい。
【ついでに読みたい正常性バイアスの話】
あまりのことにボーゼン!でも自分だけは大丈夫!だって周りは誰も騒いでないし!
大きすぎるテーマ
もちろん、読みながら他のことも考えている。
自然災害を予測することの難しさ、前例のない出来事への対処、大勢を管理し動かすということ、リーダーの判断。
そして、今ここで非常事態が発生したらどうするか。
それにしても、自然災害を相手にすると考えるべきことが多すぎる。
のめり込むまでもなくお手上げ感に行き詰まる。
こういっちゃナンだけど、自然災害に比べたら寝タバコなんかで発生する火災なんてチョロすぎて、なぜ撲滅できないのか謎である。寝タバコしなきゃいいだけの話なのに。
しかしそのチョロいはずの火災ですら、私たちは逃れることができないでいる。
だったら火災の比ではない火山噴火とか地震とか津波とか、あぁもう‥‥。
そして「ま、今日明日の話じゃないし」で逃げてどうにか気を取り直し、また振り出しに戻るのであった。