僕の髪が肩まで伸びて
バー・ムスコの髪が伸びている。
それはそれは伸びている。

本日現在、撮影時よりもさらに伸びているので描き足した。
鼻まで覆う長い前髪。
面と向かっていても彼の視線がどこにあるのか不明。
当の本人も前が見づらいようで、しょっちゅう小首をかしげたり縄のれんをくぐるオッサンみたいなしぐさをしている。
当然ながら、担任の先生からもときおり「前髪を切りなさい」的なお声がかかるらしい。
そりゃそうだよね。前が見えないんだもん。
母親である私だってときどき言うよ。
「アンタその髪、いつまで伸ばすつもり?」
髪を切らない理由
毎日のことで見なれた家族でさえ異様に感じるこの長髪。
洗うのに手間がかかるし乾きにくいし寝ぐせはつくし、なによりもうっとおしい。
だけどバー・ムスコはかたくなに髪を切ろうとはしない。
なぜか?
どうやら急な様変わりがイヤなのらしい。
散髪するとイメージが変わる。
そうすると、それに気づいた人が「髪切った?」なんて声をかけてくるわけだが、それがイヤなのらしい。
「ほっといてくれ」というところだろうか。
女性はヘアスタイルの変化に対する周りの反応を気にするもので、カットしたあとに反応がないと「気づいてくれない」だの「どうせ私のことなんて気にしてないのね」だのの不満に発展がちなものだが、少年の心はまた違うもんなんだね。
髪を切る理由
余談だが、夫の考察によると、髪を切る理由は男女で違うのだそうだ。
男性は元へ戻すため。
女性はさらなる改善のため。
つまり、男性は髪が伸びたことによるマイナスをゼロにするため、要するに復旧するために髪を切る。
いっぽう女性は、しだいにゼロへと落ちつつあるものをプラスに引き上げるために髪を切る。
というのが夫の持論だ。
うーむ。
考えてみれば確かにそうかもしれないな。
他人の髪
さて。
うっとおしいバー・ムスコの長髪。
しかし本人が「切らない」と堅く決めている以上、周りがどうやったって動くものではない。
‥‥まぁ、いっか。
そもそも私の髪じゃないし、うっとおしく感じるのはバー・ムスコと一緒にいる数時間でしかない。
それに、いくらなんでも一生伸ばしっぱなしということはないだろう。
腰まで届くほど伸ばすなんて、活発な少年のことだもの。まず考えられない。
ということは、そのうち自分から「切る」と言い出すに違いない。
だったらせいぜいあと1年じゃん。
切るのはそのときでいっか。
それに、中学生になったら今より厳しいルールが学校から課せられる。
バー・ムスコがどう対処するのかを、いっそ見学してみるのもオモシロい。イヒヒ。
【あわせて読みたい、子育ての基本理念】コドモを3人育てながら言う!オカーサンが本当にやらなければならないことは2つだけ!