即対応する勇気と覚悟。
防災で備えで訓練で、本当に必要なことはこれ。
どんだけ防災グッズを取り揃えても、
どんだけ消火器の使い方をマスターしても、
どんだけイメージを膨らませても、
イザそのときに適正に動けなければ意味がない。
それ、やれるの?
例えば消火器。
使い方は、これまでに参加した消防訓練で何度も聞かされている。
デモンストレーションもやっている。
だけど、鍋から火が出たとき、コードから火花が散ったとき、灰皿から煙が出たときに動けるか。
「消火器で消す」という考えが浮かぶか。
その消火器はどこから持ってくるのか。
今すぐ使うという判断を下せるか。
たぶんムリ
消火器の使い方なんて、10年以上この仕事をやっている私にとっては目をつぶってたってできる簡単なこと。
蛇口をひねって水を出す行為のように、体が覚えてしまっている。
でも消火の経験なんてほとんどない。
ましてや自分で発見して自分で消火したなんて皆無。
それを的確にやれる自信なんて、ない。
用意された災害
そこんとこで訓練がモノを言うわけだけど、たいていの訓練は上げ膳据え膳。
本日ご用意した火災は、○時○分に発生したこちらの火です。
消火にお使いいただくのはこの消火器。
では消してみましょう。

こちらが、本日の消火器です。
ほとんどの訓練は料理番組みたいなものだ。
誰かによって計量されて、誰かによって下ごしらえされて、誰かによって3時間煮こまれ、誰かによってひと晩冷やされている。
すべての準備は完了し、あとは手順に沿って作るだけ。
でも本当はそうじゃないよね。
リアルな料理は生活の一部分。
予算とか在庫とか家族のハラ具合なんかを考慮したメニューの選定から始まる。
肉はパックから出さなきゃならないし、野菜は洗わなきゃならないし、足りないものの追加もいる。
事後には後かたづけだって控えている。

子どもが「手伝う~!」と言って乱入してきたり
本当に伝えたいこと
でも、リアルな料理をやってては番組にならない。
サプライズのような抜き打ち訓練も現実的ではない。
ふだんの生活とのバランスだって大事だ。
だからこれだけは覚えておいてほしい。
いまあちこちで行われている訓練は、いいとこだけを切り取った断片でしかない。
これさえやっとけば大丈夫!なんて特効薬はない。
訓練で学んだことが唯一無二の正解ではない。
私が伝えていきたいのはこれ。
即対応する勇気と覚悟。
あと、死なない決意。