消防業界では、建物を大きく2つに分けている。
あなたの家や職場はどちらに該当するだろうか。
ジャンル分け
消防業界では、建物を防火対象物と称している。
これは、「人が使う施設だから、火の用心の対策をしとかないとだいぶ被害が出ちゃう」てな考えで、防火管理やら消防設備の設置やらを求められる。
だけど、防火管理とか消防設備の設置をすべての建物に同じルールを課しているわけではない。
どんな人が使っているか、なにに使っているか、で区別している。
それを一覧にした通称レーベッピョーというのがあるのだが、初心者と忙しい人にはメンドクサすぎるので、私の雑な説明に代えさせていただく。
①決まった人だけが利用する
ひとつは、いつも同じ人が出入りする施設。
企業とか学校とか、アパートとかマンションとかね。
「飛び込み営業の人が来た」「同棲相手が頻繁に変わる」とか、そういうレアケースは除く。
こういう施設は、ふだんから利用者が各自で防火管理できている(はず)。
そして、火災が発生したときもそれなりに行動できる(はず)。
だから消防法のルールも比較的ユルく、設置すべき消防設備もわりと少ない。
「うちの事務所には消火器しか置いてない」というのもアリなのだ。
ルールがユルいからって安心してちゃいけないよ。
「ちゃんと自分でできるでしょ?」って言われてるわけだから、逆にキビシイとも言えるだろう。
②不特定多数が利用する
もうひとつは、いろんな人がしょっちゅう出入りする施設。
デパートとか映画館、飲食店なんかがそう。
そして、行動にハンデのある人が利用する施設も。
具体的には、病院とか福祉施設とか保育園とか。
火事だ!ってときに避難に時間がかかるのが予測されるこれらの施設では、防火管理やら消防設備やら、その保守管理やらがキビシイ。
「軽い気持ちでオーナーになったけど、あとの管理が大変だった」なんてことがあるのでご留意ください。
さて。
建物を大きく2つに分けられた、消防法のジャンル分け。
あなたの家や職場はどちらに該当するだろうか。
自宅はほとんど①だよね。
なんかあると厳しくなる
戦後に施行された消防法。
最初にだいぶ念入りに考えて作ったはずの法律だけど、時代や世の中の情勢は変わっていく。
だから消防法はときどき変更される。
運用の都合上、最低限のルールしか決めていないので、変更になるときはたいてい厳しくなる。
つまり、消防法はどんどん厳しくなっていくのだ。
ユルくなることはあまりない。
ガツンと変更があるのは大きな火事でたくさんの死者が出たとき。
例えば、平成13年の新宿歌舞伎町ビルの火災。
繁華街の細い雑居ビルで発生した火災で、40名以上の死者が出た。
あまりにもテキトーな防火管理が招いた大惨事。
この事故を受け、「二度と繰り返してはならぬ」ということで新しいルールがいくつもつくられた。
珍しくカタいことを言う
絶えず変化する世の中に応じて、新しいビジネスが生まれる。
新しいものには、対応する消防法がない。
防火管理とか消防設備にはコストがかかるが、消防法に該当しなければ、うまいことすり抜けられる。
だけど一度火災を起こせば厳しいルールが課せられるわけ。
ルールには、大惨事という犠牲を払う。