イグジットを訪れたお客さんは、うっかりしていると訓練ワークに巻きこまれてしまうのでご注意ください。
ところで、お客さんにとって、訓練ワークに巻きこまれるというのはどうなんだろうか。
いい迷惑?
それとも、いい機会?
あれよあれよという間に
今日もいい機会に恵まれたお客さんが1名。
まずはベランダ蹴破り・トッパを体験。
イグジット内は土足なので、お客さんは自分が履いてきた靴でそのまま蹴破る。
そして、「でも、ベランダにあるのはたいていナヨッとしたスリッパですよねー」なんて言われて「言われてみればその通り!」と素直に感心する。
続いて「地震のあとにはガラスやら陶器やら、いろんなものが散らばるんですよねー」と、足元つながりの話が進む。
さらに続けて「新聞紙でスリッパが作れるんですよ!」という巧妙な促し。
こうしてまんまと乗せられたお客さんは、新聞紙でスリッパを作るハメになる。
作りたい人はこちら→【動画と図解】新聞スリッパの作り方
ガレキでもてなす
自分で新聞スリッパを作ると履いてみたくなる。
作り方はごく簡単なので、ふたつ作って両方の足で試してみることができる。
両足に履いたなら足踏みしてみたくなる。
歩いてみたくなる。
そこへ「ガレキをどうぞ」という、お客さんをもてなすフレーズとは思えないような誘いのひと言。
さっき蹴破ったベランダの壁を、さらに細かく砕いたものがガレキと称して用意される。
じゃあ裸足で
ガレキの上を新聞スリッパで歩いて「裸足だったらイヤだけど、これなら‥‥」なんて感想をうっかり言うと、すかさず裸足チャレンジを提案される。
容赦がない。
だが、新聞スリッパのありがたみを実感するには、スリッパなしの状態も知っておかねばならぬ。

イテテ‥‥。
じゃあ外で
ここまでくると、お客さんも気分がほぐれてノッてくる。
「外にも出てみるか」
あとは自然に
こうしてお客さんは、自分であれこれ思いついてやるようになっていく。
ガレキの上を歩くと、「底にもうすこし厚みがあったらいいのにな」なんてことを思いつく。
外を歩いたあとの新聞スリッパは疲弊して、破れてしまう。
そんなタイミングでそっと追加の新聞紙とガムテープを差し出す。
するとお客さんは自動的に新聞スリッパの補強を始める。

オリジナルな工夫が冴える。
だけどさ、よく考えてみたらコレ、ごく簡易的なスリッパ。
その場しのぎのアイテムなのでそんなにがんばって長持ちさせなくてもいいんだよね。
でも、ついやりたくなっちゃう。
そんで「新聞紙とガムテープは非常持ち出し袋に必須!」なんて自己納得してしまう。
実感してるから強い。
訓練ワークに巻き込まれていい迷惑してるうちに、いい機会になるわけ。
自分で考えて自分でやる。
イグジットの訓練は、こういう仕掛けになっている。