これまでのあらすじ
仕事の延長というか娯楽というか、私は消防署や赤十字が主催する救急法をいくつも受講している。
余談だが、私には歯科衛生士の資格を持っている。
つまり私には、全身についてのうっすらとした基礎知識と、首から上についてのわりと詳しい知識、口の中の専門知識がある。
あとは歯科医院に勤めていたときの実践に基づく経験がある。
私にとって救急法が娯楽なのは、この経歴のせいでもある。
赤十字ベーシックライフサポーター&救急法救急員に認定されたことがなかなか理解できない
どれくらい習得しているのか
さて。
救急法を継続して受講しているおかげで、まるっきりなんにも知らない人から「吉岡さんって救急の人ですか?」と誤解されるくらいには知識の習得をしている。
文字通り、知識。
そうだ。
しょせん知識なのだ。
胸骨圧迫とかAEDとか死戦期呼吸とか、知ってはいるけど、扱った症例はゼロ。
だけどこういうのって、実践で使わなければ真の習得にはならないし、当然ながらスキルアップもできない。
こんなの↓持ってたって使えない。
心肺停止の見知らぬオッサンにもチューできちゃう、命が助かる便利グッズ
手も足も出ない
こないだ、目の前で人が倒れた。
その場にいた数人と一緒に救急車を呼んだ。
私の習得した知識は、なんかの役に立ったのだろうか。
こんなとき、できるのは意識と呼吸の確認ぐらいだ。
意識と呼吸がなければトレーニングを積んだ胸骨圧迫をやるチャンスなのだが、荒い息をしながらこちらの呼びかけに応えるのでは手の施しようがない(この場合、手の施しようはないほうがいいんだけど)
到着した救急隊員はこちらの知らないことばかりを尋ねてくる。
既往歴、家族の連絡先、今日は朝から具合が悪そうだったのか。
5分前に会ったばっかりの相手なんだから、知らねーYO!
(「分かる範囲で答えてください」という前提があるのは承知だけど、プレッシャーしかない涙)
できること
心肺蘇生なんて習得したって、一般人には極めて非日常なこと。
活かせるチャンスなんてそうそうあるわけがない。むしろ、ないほうがいい。
イザそのときに100%発揮できるわけではない。
だが、100のうちの1%ぐらいは役に立つ。
今回の救急事態でやれたのは、この2つ。
①救急車を呼ぶと決める
②倒れた人の様子を観察する
①救急車を呼ぶと決める
われながらよくぞ即決したと思う。
「え、大丈夫?」「ど、どうしたらいいの」というオロオロ状態をバッサリ切り捨てることができた。
これはあとから気づいたことだけど、どうせ様子見てたってマトモな判断なんかできやしない。
だったらさっさと専門家を呼んだほうがいい。
②倒れた人の様子を観察する
要するに見てるだけなんだけど、これは重要な情報であるらしい。
どんなときに倒れたのか、倒れたときの状態、痙攣はどんな様子でどれくらい続いたのかなど、到着した救急隊員に聞かれること聞かれること。
これもまたあとから思い出したことなんだけど、そういえば「傷病者の観察」ってのが救急法のテキストにあった。
講習では呼吸どころかピクリともしないダミー人形を相手にしているので、観察を疎かにしがちだったけど。

どうせ息なんかしてない。
まとめ
あとから思い出したことばかりで恐縮だけど、「訓練の目的は『やる!』という決断ができるようになるため」みたいなことも講習で聞いた気がする。
てことは、これでいいんじゃん。